インドで生きるということ/a Japanese living in India

意識高い系の旧帝大卒文系男子がインドに現地採用されてせっせと働く話

インドの現地採用をクビになるということ

 

はじめに

大変ご無沙汰しています。(twitterは結構アクティブに更新しています)

2020年前半にインドでの現地採用職(以下、「現採」)として勤務を終え、転職活動を経て現在は東京で勤務しています。

 

ブログの更新は、を最後にストップしていたため「その間何してたの?」と思われる方もいらっしゃると思います。

 

実は、20年3月末にインドの会社をクビになっていました。

 

補足:雇用体系

今まさに「クビになった」と書きましたが、実は正確には「解雇通知」ではなく、「期首の契約更新の停止」を言い渡された形になります。

(職場に在籍できなくなるという意味では全く同じなのですが)

 

もともとインドの現採では、たとえ私のような正社員であっても任期なし雇用ではなく、「年度初めに雇用契約を都度更新する」形式がとられています。日本でいうと、契約社員に相当する雇用形態です。

(多くのアジアの現採も、上記のような雇用体系による契約だと認識しています)

 

これは採用面接の際にも、「著しく勤務態度が悪いとか、企業業績がひどく悪化しているという例外を除けば、通常は更新されます」と日本人の駐在員から説明を受けており、私もこの項目の存在は理解していました。

 

まさにこの雇用形態がアダとなり、私のインド生活が強制終了させられることとなりました…。

 

補足:通知時期

なお、「被雇用者への契約更新停止の通知は、期首のXか月前までに実施する必要がある」という条項も存在するのですが、その日数に合わせて契約停止の旨を伝える個別面談を設けてくれました。

 

したがって、20年2月末とか3月の途中に「きみ4月から働けなくなるからよろしく!」というようなクソ理不尽な目には遭っていません。

いかにもインドなら起こりえそうで怖いですが、そこは幸いちゃんとしていました笑)

 

クビになった理由

先に言いますが、私の売上ノルマとか勤務態度とかブログの存在は原因ではないです(笑)

 

説明を受けた理由としては、二点あります。

1.企業のローカル化(ローカライゼーション)の一環

2.業績不信(インド本社の売上減少)

前者については、私が採用された時期にはすでにこのテーマでゴタゴタしていました。もともと日本本社(ヘッドクオーター)のグローバル戦略的に、日本人多数配置からローカライゼーションへの転換が主眼にあったようで、その方針に巻き込まれる形になりました。

 

後者については、自社商材をインド国内の同業他社(日系、インド系、その他)の商材と比較しても、優位性をキープし高シェアを維持することが難しい状態でした。

(しかも、現採どころか駐在員の判断でも変更したり改善することが難しい箇所だったので、ある時期には競合にひたすら失注しまくる場面もありました)

 

ですので、後者に関してはすんなり納得してしまいました。

 

なお、現採は日本基準で見ると極めて安価な年収(当時日本円で280万円程度)であっても、これはインド人平社員3-4人分には相当するので、事業整理や人員削減が検討された際には、割と真っ先に現採がコスト要因と判断されるケースがあります。

 

さらに補足しますと、インドに限定して説明すればこうした形で仕事を辞めることになるケースはたまにあります。さほど珍しくはないです。

日本人の現採同士の会話(噂話含む)でも「~さん、会社が赤字だからクビになっちゃった」というような話は案外耳にしていたなーという記憶があります。

(そして私が言われる番になっちゃったんだねぇ…)

 

クビの対象範囲

私を含む現採の8割が解雇を言い渡されました。

なお、その中で解雇されなかった2割は、インド国外から採用されて数か月しか経過していなかったため免除されていました。

 

(確かに、面倒くさい採用面接を通って、荷物まとめてインド生活を始めて、銀行口座作ったりお腹壊したりしながらインドでの仕事に慣れている最中でもしクビになったらそれはクソ中のクソですよね)

 

ちなみに解雇された中では私が一番勤務歴が短く、極端な例だと勤務歴10年程度(現地にインド人の配偶者がいる)の方も解雇されており、これには本当に驚きました。

 

クビになったとき内心どう思ったか

実は通知された時期には、すでに業務面やキャリア的な観点で退職(自主退職)を検討していましたので、大ダメージはありませんでした。

(外資コンサルに勤務している大学の同期にキャリア相談をしている時期でした)

 

とはいえ、「会社に退職を伝えようか迷っていたら、先に会社からクビを宣言された」何を言っているのか分からねぇと思うが、俺も何をされたのか分からなかった) という状況だったので、内心めちゃくちゃ動揺しました。

 

普段電話を全然しないタイプですが、その日の帰宅後は、中高大の友人4,5人や「インド行くので泊めてください!」と言ってくれた大学の後輩に電話を掛けまくって報告しました(笑)

 

あと、いらない駐在員を何人か削れよとは思いました。

自社、かなりの人数いたのでまずはその人員配置から再考すべきでは…とは感じざるを得なかったです。

 

通知後のケア(のようなもの)

勤務中に就職活動しても良いと連絡がありました。あとは、直属の上司からは「推薦状が必要になったら書きますから」とも言われました。

 

ですので、業務中にオフィスでウェブ面接を受けたり、企業の採用ページを閲覧することは普通にやれていました。その点は割と良かったです。

 

また、現採である同僚の中では、「日本に帰国して転職する」、「引き続きインド国内で転職する」の2パターンがいました。私は以前の記事にも書いた通り、海外現採は自らのキャリアの観点から1社に限定したいと考えていたので、日本での転職のみに焦点を絞りました。

 

なお、就職活動の際も、私は履歴書に上記の顛末を「会社都合退職」と記載しています。(企業からも、特に突っ込まれるようなことはありませんでした)

 

おわりに

もともと自分がキャリア面で仕事に違和感を覚え続けていたこと、

そしてインド退職後すぐに始まったCOVID-19の世界的流行(およびインドの強硬なロックダウン)を考慮すると、

半ば強制的にインド生活に終止符を打たれたことによって、ちょうどいいタイミングで日本を拠点に動き始めることができた気もしています。

 

とはいえ、クビになるという経験そのものは割と強烈なものでしたので、

たとえ日本で勤務するにせよ企業と個人の関係という見方に強烈な一石を投ずるようなものでした。良くも悪くも、自身の労働観とか、自社への忠誠とか、サラリーマンとして働くことを考える際には真っ先にちらつきます(笑)

 

この経験も振り返ると財産になるのかな?