南インド旅行・2日目:タンジャブール
南インド旅行2日目です。この日は移動もせず1日中タンジャブールにいました。
タンジャブールとは
11世紀には、チョーラ朝の首都で、同王朝の全盛期を築いた英主ラージャラージャ1世は、自らの名をつけたラージャラージェーシュヴァラ寺院を1010年に完成させた。世界遺産になっているブリハディーシュヴァラ寺院がそれである。
16世紀には、ヴィジャヤナガル王国のタンジャーヴール・ナーヤカ朝の首都で、17世紀の君主ラグナータ・ナーヤカはヴェンカタ2世と協力して侵入してくるゴールコンダ王国と戦い、トップールの戦いでも活躍した。
1675年、シヴァージーの弟ヴィヤンコージー(エコージー)が、この都市を拠点としてをタンジャーヴール・マラーター王国を建てた。同国はマラーター同盟を構成する一勢力となった。
(Wikipedia「タンジャーヴール」より)
南インドの古都ですね。世界遺産ブリハディーシュヴァラ寺院があります。
これと時代が下った後に建設された王宮を目的に訪れました。
タンジャブールの旅
起床~そしてホテルへ
タンジャブールに着きました。午後10時にチェンナイを発車し、午前6時に現地に着く予定でしたが、予定より早く到着しました。
午前4時45分ごろ現地入りを果たし、バスを降ろされます。太陽も登っておらず何も嬉しくない。
南インドは年中あったかいイメージでしたが、この時期になると早朝は想像より寒く、「これはしんどいぞ…」という気持ちが次第に高まります。
学生じゃないんだから夜行バスで寝て何ともないわけないんですよね(笑)
幸い降ろされた場所はオールドバスストップという場所で、観光地および宿泊エリアが近くにありました。そして世界遺産の寺院が開くのは午前9時から。
1時間ほどバススタンドの椅子で頑張り、夜も明けてきましたが
もはや何の意地か分からなくなったので、ホテルを探しました。インドで大衆ホテルを使うのは初めてです。
稀ですが、ホルスタインも現地のウシ(コブウシ)と同じように野放しにされている。
ヒンドゥー教徒は、神の使いであるウシを買うことで徳を積むことができると言われています。
果たしてこの乳牛タイプのウシに課金しても徳はカウントされるのか?
南インドの大衆ホテルはこんな風だ
500ルピー。*1
ベッド、テーブル、天井の大型ファン、ぬる~いシャワー、和式トイレ。
金額と部屋を確認したのはここだけですが、同じ通りなら他もほぼ変わらないでしょう。
私はこういう旅が結構好きなので、ホテルに入るとテンションが上がりました。
シャワーを浴び、スマホを充電して寝ます。
24時間制度
南インドのホテルでは24時間チェックイン制度を設けているのが主流だそうです。
たとえばある日の午後10時にチェックインした場合、その翌日の午後10時まで使用可能というシステムです。
今回、予期せず午前6時過ぎにチェックインしましたが、翌日に早起きする(6時にはチェックアウトする)前提で行動を組めば、
1回の料金で、これからの仮眠と今晩の睡眠の両方に利用できるということですね!
廊下。全体的に簡素でところどころ古びている。
起床~市内散策
起きると12時前でした。しっかり5時間くらい寝ました(笑)
再度シャワーを浴び、荷物は一応持っていく形で、部屋を出る。
歩いて数分で街の中心部。古都のイメージが先行していましたが、意外と地元の人も多く、車もバイクも往来が激しく、なかなか活気のある通りです。
まずは王宮に向かいます。
メインストリートを外れるとこんな感じ。クタッっとしたパステルカラーの家屋。
ポニーが留められていました。
住宅街にくっつくような形で小さな寺院もあります。
西洋建築ですね。きれいでした。
私有地でしたが、クジャクがいました。
なかなか驚きましたが、ほかのインド人も集まって写真を撮っていたので、
野生でかなり珍しいってことでしょうか?
楽しく王宮までの道のりを散策しました。
途中で子どもたちが空地で爆竹を鳴らしていたのですが、
通りがかった際に「これに火つけない?」と言われたので、一緒に楽しんだりしました。
しかし、王宮につくと予想より中が入り組んでおり、チケット売り場がどこかわからない状況でした。
しばらくさまよいましたが全く分からなかったので、王宮の見学はあっさり諦めました。世界遺産のほうが優先度が高い。
世界遺産前で見つけたモバイルATM。
インドのATMは数が多くないし、しょっちゅう紙幣切れを起こして使い物にならないことが多いので、これだと便利ですね。
プリハディーシュヴァラ寺院
午後2時前に到着。
入場料無料!
デリーの世界遺産は全て入場料が必要(外国人600ルピー、インド人50ルピー)だったため、ものすごく気前がよく感じる。
ただし、寺院には靴を脱いで入る必要があり、靴を預ける必要がある。そこで10ルピー必要。
世界遺産の敷地でおっさん面で寝る野良犬(パワーワード)。
ナンディー像。シヴァ神の乗り物の牛。「ヒンドゥー教では牛が神として扱われ、ウシを飼うと…」の下りはナンディーに由来しています。
生で見ると迫力があります。精緻に造られた像や彫刻に感心する。
時代は同時期ではなさそうですが、絵画も引き付けられます。
インド人ばかりでした。アジア人は自分ともう一人だけ(日本人でした)。
欧米人はゼロ。たぶん、欧米のホリデーシーズンは多いんでしょう。
午後4時から本堂が開く、ということで待ちました(後述します)。
本堂の中ではリンガなどが安置されていました。
本堂を拝むまでには大量の人が列に並んでゆっくり前に進みます。
初詣の感覚とかなり似ているなと思った。元旦の寒い中、列に並んで鳥居をくぐっていくあれです。
奥に住職?のような方がいて、10ルピー程度の寄付とともに花?や白色の粉を
手渡ししていました(ここはきちんと調べてみたいです)
「私は仏教徒ですが、良いですか」と聞くと「問題ありません」と返ってくる。
旅行全体を後から振り返っても印象に残っている経験です。
出会った子どもたち
寺院の中で休憩していると子どもたち3人組に声をかけられました。
といっても高校生だった。結構がっつり話しかけてきたのでいろいろと話し、
相手のことを質問し、自分の国のことを紹介する。
それが10分とかならいいんですが長かった。
ヤンチャ?な感じもあって、「まだ行くなよ!」的なことを言われ、グダグダ話しました。結果2時間ほど会話を続けていました。
だんだんと飽きてきます。そして、しまいには会話の節で「お金くれ!」や「じゃあせめてご飯おごってくれ。ビリヤニが食べたい」ということを言い始めました。
あぁ、お前らもそういう系かと心底うんざりして、その場を離れました。
余談ですが、その高校生の知り合い?の大学生くらいの男も途中で会話に参加していました。
大人しい物腰なのですが、途中で私の月収を聞きはじめ、こちらが正直に答えると
「よかったら俺もそこで働けるように紹介してくれないか?」と言ってきました。
こいつ図々しいなと思いつつ「俺は新入社員だからそういう権限はないんだ」と返しました。
食事~就寝
4時に開いた本堂をしばらくして見学し、5時ごろに寺院を退出。
ホテルに行く途中で軽食を買い、食べる。
ホテルに戻り完全に休憩モード。数時間後に食事に行き、戻ってきてグダグダして早寝。
この日食べたもの
揚げ物
バススタンド付近で購入した軽食
左:謎の揚げもの。10ルピー
右:サーターアンダギー的ドーナッツ。10ルピー
新聞紙に包まれて渡される。
左の食べ物なんてビジュアルからしてもフィッシュアンドチップスのフィッシュっぽいですね。なお、結局口にしてもこれが何なのか分からなかったです。味も、「揚げ物」というだけで可も不可もない(笑)
右はほとんど風味のない、小麦粉感が強いドーナッツでした。どちらも腹にはたまった。
マトンビリヤニ
レストランにて。マトンビリヤニ。220ルピー。
油でギトギトがっつり濃い味ではなく、ビリヤニとしてはかなり上品な味でした。
ビリヤニはインド料理の中ではちょっとした「ごちそう」の位置づけだそうですが、この味なら納得。また食べたい。
ちなみにビリヤニはどの店でも頼むと常に量が多いんですが、今回も例によって1.5合くらいありました。あと盛り付けの段階でご飯押しつぶしていますよね(笑)
ちなみにインドでは一般に「マトン」というとヒツジではなくヤギを使用しているそうです。食べるものがほぼ同じなので、人間が口にした時の違いはほぼないらしい。
確かに、ヤギは大量に放牧してあり、またムンバイでは市場の店に捌いたあとの首が置いてあったりで、市場に出回っている感がありますが、ヒツジは一度も見たことがない。
お口直し
ちゃんとしたレストランで、食後の口直しに出される。名前は忘れてしまった。数粒食べるのが良い。
ショートケーキ
レストランの近くにあったケーキ屋台。50ルピー。
「インドのケーキとパンはベジタリアンに考慮して卵を使っていないからまずい」
という話を職場の先輩に聞いていて、ケーキについては気になりつつ食べるのを控えていました。
しかしこれは普通です。普通に美味しい。卵を使っている味です。
おそらくは、多宗教だったり戒律の厳しい州に限り、卵なしの製品を作っているんでしょうね。
感じたこと
しっかりとした教育を受けてないインド人は、日本人にとって基本的に図々しく感じられます。
しかし、それは自分と彼らとで根本的な世界観が違うことに原因があるのだと思います。
会社で一緒に仕事をするインド人や得意先のインド人の社員はちゃんとしていますが、
それは彼らが大学や大学院を出ていて、自分たちの土地やコミュニティが持つ世界観から抜け出し、別な価値観(人に金やものをねだらない、ものをそこらに捨てない、嘘をつかない)に歩み寄っている証左なのだと。
教育を受けていない彼らは別に、自分たちの言動を悪いことや不快にさせるものと思っていないんですよね。お互いがお互いに無心しあうかもしれない。その日あった人同士でいい職場を教えあうかもしれない。嘘を付き合うかもしれない。でもそれに怒るというわけではないのだと思う。(そもそも「嘘」って概念がどうなっているかも気になる)
以上のようなことを考えました。子どもたちは本当に悪気なく言うので、言われた瞬間はイラっとしたんですが、振り返るとけっこう興味深い話だよなと思っています。
お寺自体は文句なしに素晴らしかったですしね。
3日目は早起きしてバスに乗りまくります。
世界遺産エリアを一つめぐり、旧仏領のポンディシェリに向かいます。
*1:2018年11月15日現在、1ルピー=1.58円