南インド旅行・0日目:南北インドの違い4点
今年の11月7日は「ディワリ」というインドのお正月でした。
それに合わせて、会社などはその前後数日が休日となります。
自社についても11月6日から11日までがお休みとなったため、その期間中に南インド・タミルナドゥ州へ行きました。
ちなみに駐在員の方は、かなりの数がタイ・バンコクに行かれていました。
- 地理的に近く時間・お金のコストが低く、主要都市からだと直通便数も多い。
- 邦人が多いため日系飲食チェーンや日本製品・食材などにアクセスしやすい。
以上の理由からだと思います。
南インド旅行記を記すつもりなので、まずは南インドについてまとめてみました。
南インドとは
地理的な観点より、古くから、サトプラ山脈・ナルマダー川・ヴィンディヤ山脈の線より以南の、デカン高原・東ガーツ山脈・西ガーツ山脈を含む地域は、「南」(サンスクリット語で दक्षिण ダクシナ;デカン高原の「デカン」の語源である)と呼ばれてきた。
現在では、言語的・文化的、そして政治的な観点も含めて、南インドはアーンドラ・プラデーシュ州、テランガーナ州、ゴア州、カルナータカ州、ケーララ州、タミル・ナードゥ州、ラクシャドヴィーパ連合区、パーンディッチェーリ連合区、アンダマン・ニコバル諸島連合区を含む地域を指し、この地域の居住者は「南インド人」(英語で South Indians)と呼ばれることがある。(wikipedia「南インド」より)
実際の使われ方だと、大都市チェンナイのあるタミルナドゥ州およびバンガロールのあるカルナータカ州、そしてバックウォーターが有名なケーララ州を指すことが多いです。
タミルナドゥ州とは
古来から続くヒンドゥー文化の発信地であり今もその文化に誇りを持つ、インドの奈良・京都のような場所です。州都は上述の通りチェンナイ。
南北インドの違い
- 文化
- 人種
- 言語
- 性格
1.文化
前提として、北インド文化はイスラームの影響を強く受けています。
かつて北インドを制圧したムガル帝国(1526~1858)がイスラーム文化を根付かせたとも言えますが、11世紀末あたりからゴール朝の支配により北インドはイスラーム化しています。
対する南インドは、ムガル帝国の支配が拡大するまでは(程度の差はあれ)長い期間ヒンドゥー教系の王朝・王国が支配していました。途中でイスラーム王朝が建設されてもその後ヒンドゥー王朝がそれを打倒するような流れがあったのです。
こうした理由から、南インドではかなりの数のヒンドゥー教寺院が昔のまま残っています。対して、北インドで有名な世界遺産であるタージマハル(アグラ)・レッドフォート(デリー)やフマユーン廟(デリー)は全てムガル帝国期の建造物ですね。
世界史を習った方の中には、北インド史については理解していても南インド史については知識が皆無だという方も多いと思います。
第一にチョーラ朝やヴィジャヤナガル王国など一つの集団の統治期間が北インドと比べて長いこと、第二に他文化との混交がないのでダイナミズムに乏しいこと。以上の理由から学校教育では重要視されないのでしょう。
2.人種
南インド人はドラヴィダ系で、インドに古来から居住する土着の民族です。
対する北インド人はアーリア系で、北インドに侵入してドラヴィダ系を南に追いやり、また彼らと同化したとされています。
また、容姿についても実際に少し異なります。
北インド人は褐色の肌に高い鼻を持ち、その中でも肌が比較的白い人だと
一見して欧米人のような外見です。
対する南インド人は、褐色というよりは黒に近い肌の色で目鼻立ちも異なります。
北インドで働いていますが、北インド人が南インド人を下にみるような振る舞いは何度か目にしました。
3.言語
人種が異なるので言語も異なります。
北インドではインド・ヨーロッパ語族であるヒンディー語が主に話されます。
一方、南インドはドラヴィダ語族の言語を有し、タミル語(タミルナドゥ州)やマラヤーナム語(ケーララ州)などが使用されます。
そしていずれの地域でも、大英帝国による植民地の影響により高等教育では英語を使用します。
また南北インド人が会話をする際にも、相互に教育を受けているのであれば英語が使用されます。そうでない場合は意思疎通の言葉がないんですね。
前述した内容と重複しますが、南インドではヒンディー語はさほど通じません。
もちろん南インドの諸言語が北インドで通じるはずもありません。
「出身地が離れている(第一言語が異なる)」かつ「相互が一定の教育を受けていない」場合、同じ国民でも意思疎通ができない。それでいて一つの国家として成立しているのがインドの面白いところです。南インドは北インドへのアンチテーゼのような、興味深い存在です。
4.性格
北インド人はわれわれ日本人の抱くステレオタイプな「インド人」です。
陽気、派手好き、うるさい(…)、図々しい(…)、いい加減(…)。
対する南インド人は、堅実でまじめで大人しい人が多いとされています。
ただし、これも旅行者によって形成されたある種のステレオタイプであることは否めないですね(笑)
少なくとも同僚の南インド人3人は仕事を本当にしっかりやる、インド人同僚の中でもかなり信頼のおける人たちです。
終わりに
当初の予定より細かくなりましたが、南北インドの間にこのような違いがあるということから私は南インドに興味を持ち、行ってみることにしました。
結論として伝えたいことは、日本人の抱くインドのイメージは北インドということなんですよね。そもそも日本にあるインド料理屋の大半も北インド料理ですし。
あれはあれでインド人ではなくネパール人が経営していることが多いのでややこしい(笑)
また、南インドにおける文化の中心地でありタミルナドゥを奈良・京都と例えた意図も理解できましたか?
北インドと南インドの違いというのは、関東と関西の二項対立に似ているものがあります。日本国内のこの2地域なんかも、文化・言語・性格の面で異なりますよね。
まじめな話をすると「弥生人」と「縄文人」のほうが例えとしては適切かな…?
そういうわけで、次回は写真付きで南インドの旅を紹介していきます。